爬虫類飼育初心者はレオパから始める人が多い傾向にありますが、クレステッドゲッコーも人気の品種で種類が多いのも特徴のひとつ。とても大人しい性格をしている樹上生活をしているヤモリで人の手にも乗ることを嫌がらないので、ハンドリングができ独特の感触を楽しむことができます。
クレステッドゲッコーを飼育するときには、次のポイントに注意しましょう。
- 樹上生活なので高さのあるケージが必要
- 底材は保湿しやすいヤシガラなど
- シェルター・水入れは必須
- 照明はそれほど必要ない
餌はコオロギやデュピアなどの昆虫や、クレスゾルなどの人工飼料を与えますが、果物も食べるんですよ。
今回はクレステッドゲッコーの育て方や種類について解説していきます。
クレステッドゲッコーの飼育方法
クレステッドゲッコーは和名では「オウカンミカドヤモリ」といいます。ニューカレドニアの南部の森林などの樹上で生活していて、昆虫だけでなく果物も食べるとても大人しい夜行性のヤモリです。
種類などにもよりますが、体長は約17cmで大きいものだと20cmを超えることも珍しくなく、寿命は約15年と長生きするタイプ。
性格は温厚なのですが飼育環境下ではオス同士は喧嘩をしますし、オス・メスペアでも繁殖期でも気が立っているときは喧嘩してしまうため基本的には単独飼育となります。
ヤモリは尻尾を自切しても尾が再生されますが、クレステッドゲッコーは自切りした場合元の長さには戻らないので、複数飼育による喧嘩やハンドリングのときに自切りしないよう注意が必要です。
クレステッドゲッコーの飼育を始めるときは、以下の4つのポイントに注意してケージや使用するアイテムを選ばなければなりません。
ケージは高さのあるものを選ぼう
クレステッドゲッコーの平均体長を考えると、飼育ケースは最低でも30×30×45cmは欲しいところ。平地ではなく樹上で生活しているため、ケージは横幅よりも高さが必要で、生活の中心となる止まり木は必須アイテム。自然界では熱帯地方に住んでいるため、飼育環境下では保湿・保温管理が重要なポイントとなり、湿度約60~70%、温度は25℃前後が最適です。
フタがないとガラス面や止まり木づたいにケージの外に逃げてしまうこともあるので、できれば側面が開き、ロックのできるタイプがおすすめ。
ケージ内では止まり木を多めに設定してあげないと、ガラス面にずっと張り付いていたり、長い間頭を下に下げていることが多くなって、背骨やしっぽが曲がってしまう「フロッピーテール」にもなりかねません。
飼育ケージ内には止まり木を多く設置し、クレステッドゲッコーが自然の中にいるようにのびのびと動き回れる環境を作りましょう。
ケージについてや掃除方法についてはこちらの記事を参考にしてくださいね。
床材はヤシガラなど保湿できるもの
保湿という点で吸水性の良い新聞紙やペットシーツ、キッチンペーパーを使用している飼い主さんもいますが、これらのアイテムでは長期間一定の湿度を保つのは難しいです。床材のおすすめは「ハスクチップ」です。
砂や土などはクレステッドゲッコーの指先にある「趾下薄板(しかはくばん)」というヒダの間に入り込んでしまい、ガラス面や止まり木に登れなくなるので使用するのはNGですよ!
シェルターと水入れは必須!
夜行性クレステッドゲッコーは昼間は暗い場所で眠るため、明かりを遮ることのできるシェルターは必須ですが、シェルターを入れる代わりに止まり木のレイアウトを工夫して完全に影になる部分を作るのもよいですよ。
そして夜行性のクレステッドゲッコーがいつでも好きなときに水分を補給できるように、水入れを用意する必要もあります。
水入れに水を入れておけば勝手に飲むことが多いですが、ごくたまに水入れからだと飲まないこともあるので、このようなときはケージのガラス面に霧吹きを使用して水滴をつけましょう。口の中を見たときに、舌の色がうっすらとピンク色になっている場合は水分不足の状態なので様子をみて水を与えてくださいね。
餌入れに関しては、デュピアなどの昆虫の生餌を与えるときは逃走防止のためにも必要です。
照明はそれほど必要ない
昼行性の爬虫類の場合は日光浴をする必要があるため、バスキングライト・紫外線ライトといった照明が必要ですが、クレステッドゲッコーは明るい環境が苦手なので照明をつける必要はありません。
しかし観葉植物など生きている植物を入れる場合には、光合成を促すためにも照明はあったほうがよいですが、1日の点灯時間を決め規則正しいサイクルで使用しましょう。
クレステッドゲッコーの餌
他の爬虫類同様にコオロギやデュピアといった生餌を好みますが、2020年4月現在、ワイルド種は輸出規制がかかっているため養殖されているものだけ購入することができ、人工飼料に慣れているものが多いです。
餌を与えるタイミングは2~3日に1度くらいのペースにして夜に与えますが、翌朝残っているものは取り除きます。成長期や産卵後は餌をよく食べますが、脱皮の前後や発情期・産卵前になると逆に食べなくなるので普段から様子を見て与えましょう。
コオロギ
野性環境ではカタツムリなどの小型の昆虫や、自分より小さなトカゲ・ヤモリを食べるので生餌や冷凍のコオロギも食べてくれます。ただし餌の嗜好も個性があるため、稀に食べてくれないこともあるのでその場合は他の餌も試してみることをおすすめします。
コオロギばかり与えているとカルシウム不足に陥ってしまいがちで、クル病になることもあるので、市販のカルシウムパウダーを振りかけて与えるようにしましょう。
餌としてのコオロギについては、こちらの記事で解説しているので参考にしてくださいね。
デュビア
デュビアとは「ゴキブリ」のことですが、日本のクロゴキブリやチャバネではなく、海外の品種のひとつ。爬虫類などの餌用として養殖されているもので、食べ応えがあります。
体が約5cm前後と同じく餌用として販売されているレッドローチよりは大きいものの、低脂質で高たんぱくなので主食として与える人も多いです。
クレスゾルなどの人工飼料
クレステッドゲッコーは養殖されているものや、ブリーダーが繁殖させたものを販売しているため、購入した時点で人工餌に慣れているものも多いです。クレスゾルのようなチューブタイプの練り餌の場合は、スプーンなどにとって口元に運んであげたり、壁に塗りつけておくと食べてくれますよ。
昆虫と比べると必要な栄養がバランスよく含まれているので、餌による栄養バランスの偏りが起こりにくいという特徴があります。また昆虫を主食にしている爬虫類はフンのニオイがきつくなる傾向にあり、その中でもクレステッドゲッコーはフンのニオイが特にキツいです。どうしてもニオイが気になるという場合は、人工飼料にすることで悪臭を抑えることができますよ。
果物
意外に思うかもしれませんが、自然環境下ではマンゴーなどの果物も食べるんですよ。そのため飼育環境下でもおやつ程度に、完熟したマンゴーなど柔らかい果物を与えるのもおすすめです。
クレステッドゲッコーのモルフ(種類)
クレステッドゲッコーの飼育に必要なアイテムや、餌についてお話ししてきましたが、ここからはクレステッドゲッコーのモルフ(品種)について簡単に説明していきましょう。
ノーマル
「ノーマル」はクレステッドゲッコーの数あるモルフの中でも、特徴的なカラーパターンを持たない単色のもので模様がないタイプ。シンプルな色合いでかわいらしいですよ。
タイガー
色合いはシンプルですがタイガーの名にふさわしく、背中部分にバンド状の模様が入っています。
ファイア
「ファイア」は体の横側にの炎手足や横腹には模様がなく、体の側面にだけ炎を連想させるような模様が出現する品種。
ハーレクイン
「ハーレクイン」はファイアを品種改良して作られました。横腹・四肢にまで炎を思わせる模様入りで、模様の入り方が派手な「スーパーハーレクイン」といったモルフもいます。
ダルメシアン
「ダルメシアン」というと犬を連想する人が多いようですが、そのイメージどおり黒い点状の模様が体中に点在しているモルフです。スポットの数や大きさは個体差があり、スポットの色もときには白・緑・赤など個体差が生じるという特徴もあります。
まとめ:【初心者向け】クレステッドゲッコーの飼育方法!床材・餌・人気のモルフ
クレステッドゲッコーの飼育に必要なアイテムや適切な餌、さらにはモルフ(品種)についてお話ししました。
販売価格や体長・体重などに関してはモルフごとに異なりますし、模様の出方などで価格が上下することも。しかし繁殖させやすいため養殖されたものやブリーダーが繁殖させたものが市場に多く出回っているので、比較的購入しやすい環境が整っています。
今回ご紹介したモルフ以外の品種も存在するので、時間をかけてお気に入りの1匹を探してみるのも楽しみのひとつです。機会があればクレステッドゲッコー飼育にチャレンジしてみて!