【爬虫類の口内炎】マウスロットとは!初期症状から応急処置まで解説します

爬虫類を飼育するうえで覚えておかなければならない病気のひとつ「マウスロット」。これは口腔内で細菌感染が起こり、チーズに似た膿が溜まっていき、病状が悪化していくことで患部が壊死していき、水や餌を摂取できなくなってしまいます。

マウスロットの原因や初期症状、見分け方などをしっかりと覚えておかないと、お迎えした爬虫類が気付いたらマウスロットが原因で死んでしまったなんてことにもなりかねません。

今回はマウスロットの原因や見分け方だけでなく、応急処置や病院へ連れて行くときの準備などについて解説していきます。

マウスロットとは

ヘビなどに多く見られるマウスロットですが、実は爬虫類全般に起こりうる病気です。症状が軽度のうちは自己治癒してしまうこともありますが、病気が進行していくと餌や水を摂取できなくなくなるため弱って最悪の場合死んでしまうことも。

早期発見・早期治療をすることでマウスロットを完治させることは可能なので、原因や他の病気との見分け方をしっかりと覚えておきましょう。

マウスロットの原因・見分け方

マウスロットは口腔内や口周辺に症状が発症するため風邪や内臓系の病気と比べると発見しやすく、他の病気との見分けもつきやすいです。原因や初期症状、見分け方は以下のようになります。

マウスロットの原因

マウスロットになる原因ですが、餌を食べているときに口腔内を傷付けたり、ケージにぶつかったりして、口腔内や口の周囲にできた傷から菌に感染することで発症してしまうんです。

感染し発症する原因となる菌は1種類ではなく、ウィルスや細菌、真菌などさまざまな菌が原因となるため原因菌を特定するためには病院で診察を受ける必要があります。

健康で最適な環境で飼育している場合には、自己治癒能力が高いため初期症状なら自然と治ってしまうこともありますが、感染後症状を悪化させる原因に以下のようなものがあります。

  • ビタミンCなどの栄養素の欠乏
  • 飼育環境などによる重度のストレス
  • ケージ内の気温が低い
  • 不衛生な環境

マウスロットは普段の飼育環境を良い状態に保つことで悪化することを防ぎやすくなるともいえますね

初期症状・見分け方

マウスロットの初期症状で多いのは「よだれ」で、マウスロットのときのよだれは粘り気が強いです。粘液は肺炎にかかっていて気管支からでていることもありますが、粘液が薄い膜状になっていて、口の裏側についているのであれば、重症度の高いジフテリア性のマウスロットの可能性も考えられます。

また口を半開きにしてきちんと閉じない、元気がなく急に食欲が落ちるといった症状も見受けられます。口の中を見たときに小さな赤い点があることも。この赤い点はごく少量の出血が起きているときに現れるものです

症状が段々と重症化していくにしたがい、ウィルスや細菌に感染した患部の腫れ、口の中の色がおかしいといった症状が表れはじめ、感染部の壊死した細胞が膿のようにたまっていきますが、この膿はカッテージチーズやクリームチーズ状という特徴があります。

症状に気が付いたときは軽度だったとしても、飼育環境が悪かったり爬虫類の体調が思わしくないときは数日で病状が急変し死んでしまうことも珍しくありません。

マウスロットの応急処置!症状が出たら病院に連れて行こう

爬虫類飼育上級者の中には初期のマウスロットの場合、綿棒などで粘液を取り除いてから口の中を洗浄し、イソジンや抗生物質軟膏などを適量塗ることで治療する人もいますが、爬虫類飼育初心者には敷居が高いもの。

応急処置を行なうのはよいですが、しっかりと動物病院で診察を受け、適切な治療を受けることで回復することができます。

怪我の原因を無くす

動物病院に連れて行くまでの応急処置は、まずこれ以上爬虫類の口の中や口周辺を傷付けないように、ケージ内にあるとがったものは取り除きましょう。

餌の与え方もポイントで、昆虫の足などとがっていたり硬い部分は外して与えるのがポイント。また口の中全体や喉などが腫れている場合は、餌を飲み込んだときに窒息するのを防ぐためにも、普段よりも小さいサイズのものに変更します。

自己治癒能力を高めたりストレスを軽減する

マウスロットは自己治癒能力が落ちていたり、酷くストレスをため込んでしまうことで抵抗力が落ちて悪化することもあります。

そのため飼育している爬虫類が一番活性が高くなる温度設定にしてあげて、自己治癒能力を少しでも高めることができる環境を作ることも大切です。ケージ内が汚れてるようならしっかりと掃除をして快適に過ごせる場所を作ってあげることも必要です

ケージの清掃についてはこちらの記事を参考にしてくださいね。

また普段与えている餌で栄養の偏りがないかもチェックして、栄養バランスよく餌を与えることも大切です。人どおりが多かったり大きな音がする、車が通るたびに振動がするといった落ち着きのない場所にケージを設置しているのであれば、静かに落ち着ける場所にケージを移動することで爬虫類のストレスを軽減することもできます。

素人判断で治療すると逆に症状を悪化させてしまうこともあるので、すぐに動物病院に連れて行きましょう。

すぐに病院へ行く準備をする

動物病院も人間の病院と同じで、最近は予約制になっているところも多いです。かかりつけが予約制になっていないのであればそのまま駆け込むこともできますが、初めてかかるときや予約制の場合は待ち時間を減らすためにも、まず電話で動物病院に問い合わせるのがベスト。

問い合せ時には爬虫類の症状などを聞かれることもあるため、事前に以下のことをメモしておけば診察時にも獣医さんに説明しやすいですよ。

  • いつから様子がおかしかったか
  • 現在ある症状
  • 食欲はあるか、フンの状態など

動物病院に連れて行くときのポイントについてはこちらの記事を参考にしてくださいね。

動物病院では口の中の粘膜やたまった膿を取り、どんな菌に感染しているのかを検査します。菌に合った抗生物質などの薬を投与しますが、症状がひどい場合には筋肉注射をすることもありますし、気道内を洗浄することもあります。

また予後にビタミンを多く投与することで回復が早まる傾向にありますが、これはビタミンが不足していることで抵抗力が落ちて自己治癒能力も落ちてしまいマウスロットになってしまうためです。

しっかりと必要な栄養分をバランスよく普段から摂取し清潔な環境で飼育してれば、マウスロットは発症しにくくなります。

まとめ:【爬虫類の口内炎】マウスロットとは!初期症状から応急処置まで解説します

マウスロットはヘビをはじめとした爬虫類全般に起きる病気です。口の中や口周辺の傷から菌が体内に入り込み感染することで、粘力の強いよだれが出て、感染部の腫れなどを引き起こし壊死した細胞が膿のようにたまっていきます。

放置していると餌も食べられなくなって衰弱死してしまうことも珍しくありません。口の中の状態や膿の有無などから、他の病気との見分けが付けやすいという特徴があります。

爬虫類飼育初心者が動物病院で診察を受けさせずに自宅で完治させるのは難しいので、症状を発見したら軽度でもすぐに動物病院にかかりましょう。

マウスロットは普段から餌を与えるときに口の中に傷ができないよう、昆虫の足など硬く引っかかる部分を取り除いて与えたり、ケージ内を清潔にして菌の発生を防ぐ、バランスのよい餌で飼育して爬虫類の免疫力を付ける、ストレスのない環境で飼育するといったことで発病を防ぐことができます。マウスロットを発症したときは普段の飼育環境の見直しもしっかりしてくださいね。

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