ペットとして飼育されるヘビには有毒な品種もいますが、今回ご紹介するセイブシシバナヘビは微量の毒を持っているヘビなので、取扱いに少し注意が必要です。ペットとして飼育されるヘビの中では比較的小型で大人しく飼育は容易ですが、ハンドリングの際は万が一咬まれたときのことを考えて手袋をすることをおすすめします。
今回はセイブシシバナヘビについてや飼育に適したケージ、温度や湿度・餌などといった基本的な飼育方法・種類などについてお話ししていきますよ。
セイブシシバナヘビとは
セイブシシバナヘビはアメリカ・メキシコの北部などにある砂地や草原、半砂漠といった場所に生息しているヘビ。オスの体長は最大で約60cm。メスはオスよりも大きくなるという特徴がありますが、1mを超えるのは珍しいようです。
温和な性格のヘビなのですが購入直は怯えからか、「シューッ」という威嚇音を出してくることもあります。身の危険を感じると『擬似行動』で『死んだふり』をすることでも爬虫類好きの間では知られているんですよ。
セイブシシバナヘビの魅力
セイブシシバナヘビは太目のずんぐりとした体をしているだけでなく、吻端板(ふんたんばん)が反り返っているという特徴があるのですが、鼻の形状が豚のように見えるので、海外では『豚鼻(英語ではHog nose)』、日本では『猪鼻(いのししばな)』と呼ぶことも。
体型的にマムシに似ていますがマムシよりは頭部が小さめで、ゆっくりとした動き方をします。実際に目の前で動いている様子をみていると、とても愛らしいヘビですよ。
微量ながら毒を持っている
セイブシシバナヘビは前歯ではなく上アゴの後方に1~2本の毒牙を持つ『後牙類』ですが、牙から相手の体内に毒を注入するのではなく口の中にある唾液に弱い毒が含まれているんです。
これまでにセイブシシバナヘビの毒が原因で亡くなった・大きな後遺症が残ったという記録はありませんが、噛まれた傷口からサルモネラや破傷風などの二次感染を引き起こす可能性があります。どうしてもハンドリングをしたいというのであれば、万が一咬まれてもよいように厚手の手袋をしたほうがよいですよ。
セイブシシバナヘビの飼育方法
セイブシシバナヘビの飼育方法に関しては、湿度や温度などはきちんと野生環境下に合わせてあげる必要がありますが、一般的なヘビの飼育の基本とあまり変わりありません。
飼育ケージとレイアウト
セイブシシバナヘビ自体が小型なことと、あまり動き回るタイプの種類ではないのでケージの床面積は最低でもとぐろを巻いた状態の3倍以上、60cmは欲しいところですが奥行きは30mほどで大丈夫。そのため爬虫類専用ケージ以外に衣装ケースで飼育しているという人もいます。
床材はペットショップなどで販売されているウッドチップやヤシガラマットなどで十分です。フンなどのゴミはこまめに取り出す必要がありますが、底材をすべて交換するのは半年に1回程度。
飼育している子が底材に潜るのを好むようなら、少し厚めに敷いてあげることで潜っている様子を鑑賞することもできますよ。鑑賞性を重要視しないのであれば、ペット用のトイレシートなどを使用するのでも大丈夫です。
ヘビ飼育時の床材についてはこちらを参考にしてくださいね。
爬虫類ケージの掃除については、こちらの記事で解説しています。
薄明薄暮時に動き回るのでライトはあまり必要ない
セイブシシバナヘビは明け方や薄暮の時間に活動するヘビなので、昼行性のヘビのようにライトが必須というわけではありません。強い光は必要ないので、鑑賞目的などでほんの少し紫外線を含んでいるUVライトを使用することをおすすめします。
シェルターがあると落ち着く
シェルターなしで飼育している人もいますが、基本的にヘビという種類は体が何かに触れていることで落ち着いた状態を保つことができるため、なるべく体全体が入るシェルターを入れてあげましょう。
成長するに従ってサイズが合わなくなったときは、都度体に合うものを購入してあげる必要があります。
皮膚の水分補給や湿度を保つために水容器を入れる
ヘビは口から水を飲みますが、脱皮をスムーズにおこなうために皮膚にも水分を補給する必要があります。またケージ内の湿度を保つという目的からも、水容器を入れてあげましょう。
意外にヘビは水容器をひっくり返すことが多いので、ある程度の重さがあって飼育しているセイブシシバナヘビが楽に中に入れるくらいの縁のあるタイプのものを選びます。100円ショップで販売されているタッパーでも代用可能です。
温度・湿度
シシバナヘビ飼育用のケージ内の温度は25度前後にしてあげましょう。冬や春先、秋口など気温の変化が大きいときや気温が低いときのために、パネルヒーターを設置し毎日気温を確認できるよう温度計も設置する必要があります。
野性環境下では砂漠に近い地域に生息していることから、そこまで湿度を必要としないため、ケージ内に水容器があるのであれば霧吹きまでは必要ありませんが、水に浸かっている時間が長いのなら1日1回体全体を霧吹きして皮膚に水分を補給してあげましょう。
セイブシシバナヘビの餌
野性環境にいるシシバナヘビは、小型の両生類や爬虫類、小鳥、動物の死骸などを食べますが、ヒキガエルを食べていることが多いそうです。基本的に飼育環境下ではピンクマウスを与えますが、購入時にピンクマウスを食べてくれないため捕まえてきたアマガエルを与えたら食べたという話もあるんですよ。
同じシシバナヘビでも野性と繁殖させたものなどで餌の嗜好が異なることもあり、最初は餌付けするのに苦労したという話もあります。
カエルしか食べてくれない場合でも毎回捕まえてくるのは大変なので、ピンクマウスに慣らすことをおすすめします。購入直後からマウスを食べてくれる場合でも、カエルを与えるとその後マウスを食べないということになることが多いので、マウスのみを与えます。
セイブシシバナヘビのモルフ
セイブシシバナはアルビノがベースになった品種が多いですが、他のヘビと比べるとそこまで品種は多くありません。ペットとして人気が高いものは養殖されてさまざまなカラーバリエーションのモルフ(種類)が作られているんです。今回はその中から4種類ご紹介しますね。
ノーマル
ノーマルタイプのボディカラーは淡褐色。そして褐色の斑紋が並んでおり、腹板部分は黒、不規則に黄色の斑紋が入っているという特徴があります。
ラベンダー
淡いラベンダーカラーが、コロンとしたボディにピッタリ!
淡い色合いによって柔らかい雰囲気を作り出し、その顔立ちも相まって、女性からも人気の高い品種です。
スノー
https://www.youtube.com/watch?v=WdBLh_1vags
白いヘビといえばアルビノを真っ先に思い浮かべる人がほとんどでしょう。スノーはアルビノよりも白みの強いボディカラーで、斑紋もうっすら、アルビノのような特徴的な赤い目ではないという違いがあります。
アザンティック
アザンティックはノーマルから黄色を取り除いた、ブラック&ホワイトのモノクロカラーの品種。シックな色合いで落ち着きのある雰囲気があります。
まとめ:小型の蛇!セイブシシバナヘビとは!魅力・飼育方法・モルフを解説です!
セイブシシバナヘビは他のヘビと比べると愛嬌のある顔立ち、小型でコロンとした丸いボディでかわいいと女性からも人気のあるヘビですが、毒性は弱いものの神経毒を持っているので、ハンドリング時には注意が必要です。
湿気や光をそれほど必要としない品種ですが、餌のピンクマウスに慣れているかで飼育難易度は変わってきます。素人が餌付けするのは大変なので、もしも爬虫類初心者でセイブシシバナヘビの飼育を考えているのであれば、購入時にピンクマウスに慣れているかを確認しておくことをおすすめします。