カメの病気とは!甲羅・皮膚の症状とビタミン欠乏などの原因も解説します

爬虫類の中でも昔からカメは人気のある生き物ですが、カメの病気についてはあまり知られていない現状があります。特にこれからカメ飼育をしようと思っている爬虫類飼育初心者の場合、どんな病気があるのか想像もつかないのではないでしょうか?

カメのかかりやすい病気は、以下の7つです。

  • 細菌性皮膚炎
  • 鼻炎や中耳炎
  • 口内炎
  • 低カルシウム血症
  • 膀胱結石
  • 風邪
  • ハーダー氏腺炎

カメの病気は飼育環境が悪いことで起こることが多いので、病気になってしまったら飼育環境を見直し、動物病院で診察を受けることが重要なポイント。

今回はカメがかかりやすい病気7つと対処法についてお話ししていきます。

カメが罹りやすい病気7つ

カメがかかりやすい病気も人間と似たようなもので、細菌性の皮膚炎や鼻炎・中耳炎・風邪などさまざまなものがあります。しかしどの病気も放置しておくと重症化して、カメの命を危険にさらしてしまうこともあるので、普段からカメの様子をチェックし病気の兆候がないかを見逃さないようにしましょう。

細菌性皮膚炎

細菌性皮膚炎は皮膚病を発症する原因となる細菌が増えることで、皮膚が炎症を起こしてしまう病気。

  • 皮膚が赤くなりただれる
  • 甲羅に内出血が発生する
  • 皮膚や甲羅にチーズのような白い膿瘍ができる
  • 甲羅に穴があいてしまう

このような症状が表れますが、ミズガメの幼体だとアゴが取れてしまういうことも。そしてどのカメも重症化すると食欲が落ち元気がなくなります。

鼻炎・中耳炎

人間でもかかる鼻炎や中耳炎ですが意外にカメに多い傾向にあり、抵抗力が落ちているときに細菌やウィルスによって引き起こされる病気です

鼻炎は段階を追って症状が異なりますが、最初のうちは鼻呼吸の音が湿った感じになり大きくなり、中期になると鼻水・食欲低下、重症化すると膿のような鼻水が出て、食欲や元気がなくなり鼻呼吸ができないため、目を閉じ口を開けた状態で呼吸をします。

中耳炎はミズガメの幼体に多い傾向にありますがリクガメでも発症する病気で、鼻炎も発症していることが多いです。細菌感染によって腫瘍が耳にでき膨らみます。

口内炎

コチラも人間ではおなじみの病気ですね。細菌やヘルペスウイルスといったものが感染して起こるのですが、ストレスなどによって抵抗力が落ちる・外傷から感染といったことが原因で起こることも。

口腔内や舌に炎症が起き、口角がただれてしまうといた症状が見られ、痛みがあるため餌が食べにくいという特徴があります。

低カルシウム血症

低カルシウム血症は「代謝性骨疾患」という病気で、カルシウムやビタミンD、紫外線不足やリンの過剰摂取、肝臓・腸・上皮小体といったものに異常がある場合に見られます。

初期段階では症状がないものの、中期になると甲羅が柔らかくなったり、甲羅・骨が変形するといった症状が表れます。そして末期になってしまうと食欲がなくなり、甲羅がさらに柔らかくなって崩壊したり内出血が起こるだけでなく、足がうまく動かせないといった運動障害まで起きてしまう病気です。

膀胱結石

膀胱結石は別名「尿路結石」ともいい、おしっこの通り道の尿路や膀胱に小さな結石ができてしまう病気です。初期は症状がないのですが、おしっこの出る量が少なくなってきて、中期になると排せつのときにいきんでいる・便秘気味といった状態になります。そして末期になると便秘・食欲不振・腎不全にまでなってしまうため、早期発見・治療が重要な病気です。

風邪

意外に思うかもしれませんが、カメも風邪をひきます。カメが風邪をひくときは体力や抵抗力の低下でウイルスに感染するケースが多いですが、特に気温が急激に変化したり気温の低い日が続いているときなどに発症しやすいです。

呼吸が荒くなる、食欲が落ちる、動かなくなるというような症状が表れます。

ハーダー氏腺炎

ハーダー氏腺炎はビタミンAが不足することで起こり、飼育環境が不潔だったり、日光不足といったことも発症の要因になることがあり、涙腺に発症する病気です。

ハーダー氏腺は爬虫類にとっては涙を分泌する重要な腺なのですが、ビタミンAが不足することで、涙管や涙腺・結膜の上皮細胞に変性が起きてしまうため、涙を出すことができなくなりドライアイ状態に。

初期は瞼が白っぽくなる程度ですが、悪化してくると目が腫れ開かなくなってしまうため、目が見えないことで餌を食べることができなくなり弱っていくのです。重症化すると体全体がむくんだり他の感染症などを併発することもあります。

カメが病気になったら!対処法

カメが病気かもと気付いたら初期のうちは飼育環境を見直すだけで症状が軽減し治ることもありますが、しっかりと治療し病気を完治させるためには動物病院へ行き、病気や原因を特定してもらって投薬などの治療を受ける必要があります。

また動物病院に行くだけでなく、飼育環境の見直しも病気の改善や予防に重要なポイントになりますよ。

カメが病気になったら飼育環境を見直そう

今回解説するカメがかかりやすい病気の中でも細菌性皮膚炎や鼻炎・中耳炎・ハーダー氏腺炎といった感染症は、飼育環境が不衛生だと発生しやすいという特徴があります。

不衛生な飼育環境は病原菌が発生・繁殖しやすい環境ですし、そこで暮らしているカメにとっては大きなストレスにもなります。ストレスで抵抗力が落ちたり、何かのはずみでケガをしてそこから細菌感染し病気になることも。

清潔でカメにとってストレスの少ない環境かどうか、日光浴がしやすいかなど、飼育環境を見直し改善すべき点は改善しましょう。

 

ケージの掃除についてはこちらの記事で解説しています。

 

また栄養不足で病気になることもありますが、カルシウムは餌の偏りによって不足しがち。ビタミンDは餌から摂取するのではなく、日光浴をすることで体内で作られます。ビタミンDはカルシウムの吸収をサポートする大切な栄養素で、どちらが欠けても甲羅や骨の形成に異常が出てきます。

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カルシウムやビタミンなどが不足しているかなと思ったら、市販の栄養補助食品などを与えてみるのもおすすめです。

カメのもつサルモネラ菌について

カメだけでなく、爬虫類は基本的にサルモネラ菌を持っています。サルモネラ菌は人間に感染すると急激な胃腸炎症状が出るだけでなく、小さなお子さんの場合は意識障害・菌血症といった重い症状がでることも。

カメ自身も体力や抵抗力が落ちるとサルモネラ菌によって病気になることがあるのですが、困ったことにカメが持っているサルモネラ菌は完全殺菌することができないんです。

そのため飼育ケージはこまめに掃除して清潔な状態を保つようにしましょう。もちろん人への感染防止のために、掃除をしたりカメに素手で触れた場合は手洗いをしてくださいね。

無理せず動物病院で診察しよう

カメの病気は軽度なら自然と治ってしまうこともありますが、初期症状がないものなどは症状が出てしまうと個人で治療するのは難しいことが多いです。

また素人治療で逆にカメの状態を悪化させてしまうことも珍しくないため、病気になったらカメの診察をおこなっている動物病院できちんと獣医さんの診察や検査を受け、必要に応じて投薬や飼育環境の見直し相談などを受けましょう。

まとめ:カメの病気とは!甲羅・皮膚の症状とビタミン欠乏などの原因も解説します

カメも人間同様にいろいろな病気にかかりますが、早期発見することで重症化を防ぎ軽度のうちに治療することができます。放置していると命にかかわることもあるので、病気かなと思ったら1度しっかりとカメを扱っている動物病院で診察を受けましょう。動物病院によってはカメの定期健診を行っているところもありますので、そういったものを上手く利用すると病気を早期に発見しやすいですよ。

また不潔な環境で飼育していると細菌感染などが起こりやすいため、飼育ケージはこまめに掃除をして清潔な状態を保つことで病気予防をすることもできます。普段のカメのフンの状態からも健康状態をチェックすることができるので、毎日カメの様子をチェックする習慣を付けましょう。