日本の在来種であるニホントカゲやカナヘビは、野生では気温が下がってくると、土の中に潜って冬眠をして越冬します。
飼育している場合も屋外飼育で、ゲージ内の温度がしっかり下がるのであれば冬眠させることができますが、室内で冬眠できるほど気温が下がらないようなときは、保温器具を使って眠らせずに通常通り飼育を続けたほうが、体調を崩しにくいでしょう。
最近は爬虫類人気が高まりつつありますが、まだまだ他の生き物に比べると飼育情報が少なめなことから、「ニホントカゲやカナヘビにはどんな保温器具が良いのだろう?」「バスキングスポットは何度ぐらいがおすすめ?」など、保温対策に関する疑問は尽きません。
そこで今回のコラムでは、ニホントカゲやカナヘビにおすすめの保温機材・バスキングスポットをご紹介します。
ニホントカゲ・カナヘビは保温が大切!

ニホントカゲやカナヘビは、自然下では自分で越冬できる場所を見つけて冬眠し、寒い冬に耐えています。
飼育している個体も冬眠させることは可能ですが、室内だと冬眠できるほどまで温度が下がらず、中途半端な気温では体調を崩してしまうことも。
冬眠して越冬させるには繊細な温度管理が必須なため、難しいと感じるときはヒーターやライトを使ってゲージ内を温めて通常の飼育を続けるのも方法でしょう。
ニホントカゲやカナヘビの保温を行う際には、温度勾配やUVBなどを意識して、より自然光に近い環境を整えることが大切です。
ニホントカゲ・カナヘビ向きの保温機材とは

ニホントカゲやカナヘビは地表性の爬虫類であるため、保温する際には特に底冷えに気を付けて機材を選びましょう。
ここからは、ニホントカゲ・カナヘビに向いているおすすめの保温機材をご紹介します。
パネルヒーター
爬虫類飼育で定番なのが、ゲージの下に敷いて保温をするパネルヒーターです。
爬虫類ケージは意外と底面から熱が逃げていくので、下からしっかり温めることができるパネルヒーターは底冷え防止に最適。
特に床材に潜る性質があるニホントカゲ飼育では、寒さを感じたときにパネルヒーターで温めた底床に自ら潜って体温を調節することができるので、とても重宝します。
バスキングライト
バスキングライトは、爬虫類が日向ぼっこ(バスキング)をするための照明器具です。
ニホントカゲとカナヘビはどちらも日当たりの良い場所を好む昼行性の爬虫類なので、太陽光に近い光を照射できるライトを必ず設置してあげましょう。
バスキングライトはケージの片側に寄せて設置して、自分で体温調整を行える温度勾配を設けます。
光が当たる場所と当たらない場所を作ることで、ケージ内の温度の上がり過ぎも防止できて一石二鳥です。
ちなみに、バスキングライトには紫外線A波(UVA)を含む製品もありますが、爬虫類の健康維持のためには別途紫外線ライトを用意した方が良い場合があります。
ビタミンの生成やカルシウムの吸収を促進する紫外線B波(UVB)を照射したい場合は、バスキングライトだけでなく、紫外線ライトの設置も検討してみてください。
保温球
パネルヒーターが下から温めるのに対して、保温球は上から赤外線を照射してゲージ内を温める機材です。
広範囲に照射して全体を保温できるため、寒さの厳しい季節にあると心強いでしょう。
また、保温球から発せられる赤外線は、目にはほとんど見えない性質があるため、夜間の保温にも向いています。
ちなみにバスキングライトとの使い分けが難しいと感じる方もいるかもしれませんが、バスキングライトは日光浴をするためのもの、保温球はケージ全体を温めるものと、目的が違うため状況に合わせて使い分けるのが良いです。
上部ヒーター
爬虫類用のヒーターには、ゲージの蓋部分に設置する上部ヒーターも販売されています。
『暖突』や『ヒーティングトップ』などが定番で、どの製品も上部に乗せるだけでゲージ全体をやんわりと温めてくれるので、初心者の方でも扱いやすいです。安全性が高いところも人気のポイントでしょう。
ただし、上部ヒーターは上部から温める構造上、パネルヒーターに比べて底部に熱が届きづらいです。
地上部が温まっているか確認するため、温度計を下の方に設置してこまめにチェックするようにしましょう。
エアコン
ゲージを設置している部屋の温度をエアコンで管理して冷えを防ぐという方法もあります。
ただ、爬虫類飼育では室温を管理するだけでは、底冷えやバスキングスポットの問題を解消しきれないため、エアコンのみで管理するのはあまり現実的ではありません。
エアコンで保温する場合は、パネルヒーターなど他の保温機材を併用して、ニホントカゲやカナヘビに適した温度管理ができるよう工夫するのがベストです。
底床材はチップがおすすめ
爬虫類飼育の底床材にはソイルや砂、キッチンペーパーなど様々な選択肢がありますが、ニホントカゲやカナヘビを飼育する場合は、チップを使用することをおすすめします。
チップはその他の素材よりも保温性・保湿性に優れており、パネルヒーターと併用することで効率的にケージ底面を温めることができるからです。
また、ニホントカゲやカナヘビは底床に潜る習性があるため、チップの中でも潜りやすいヤシガラやアスペン、ハスクチップなどを使用すると、ストレスを軽減できます。
ニホントカゲ・カナヘビのバスキングスポット

バスキングスポットは爬虫類が日光浴をして体を温める、無くてはならない場所です。
特に寒い季節には、爬虫類は体を温めないと活動できなくなってしまうため、必ずバスキングスポットを作るようにしてください。
また、先ほども軽く触れましたが、バスキングライトを設置するときは、生き物が自分で体温調整できるように、光が当たる場所と当たらない場所を作ることを意識しましょう。
バスキングスポットは35℃に設定しよう
バスキングスポットの温度を調整するときは、ゲージ内の気温ではなく表面温度に合わせることが重要です。
寒い時期はバスキングスポットの表面温度を35℃前後、真夏など暑い季節は少し低めの33℃程度を目安とします。特に気温が下がっているときはバスキングスポットでしっかり体を温めることで、消化不良などの不調を予防できますので、温度調節には気を配りましょう。
ニホントカゲやカナヘビがバスキングスポットで体を温めている様子はとても可愛らしいので、環境を整えてぜひ観察してみてください。
バスキングシェルターが便利
上部ヒーターなどの、地表面が熱源から離れてしまう保温方法を採用している環境では、バスキングシェルターを使って高台を作ってあげたり、熱を保持するウォームプレートを使用したりするのが有効です。
ニホントカゲやカナヘビがゆっくりと日向ぼっこできるスポットを用意してあげることで、ストレスなく体全体を温めることができます。
ニホントカゲ・カナヘビは冬眠させるべき?

先程も触れた通り、野生のニホントカゲやカナヘビは冬眠をして越冬します。
そのため、本来は冬の間は冬眠をさせるのが自然な姿と言えますが、飼育している個体の場合は、必ずしも冬眠が必要というわけではありません。
冬眠をさせた方が健康に長生きしやすくなる、繁殖率に関係があるという意見もあるようですが、温度管理が難しい飼育環境では冬眠することのリスクが高いのも事実です。
- 秋までに十分に栄養を蓄えて太らせておく
- ゲージ内に冬眠できる環境を整える
- 冬眠中も水分が適度に供給される
- 冬眠に適した年齢、体力がある個体である
といった条件を確実に満たしていないと冬眠から目覚めずに、命を落としてしまう危険もあります。
リスクの多い冬眠にチャレンジするよりも、飼育下では通年で保温管理する方が確実です。
まとめ:二ホントカゲ・カナヘビの保温対策!おすすめ保温機材とバスキングスポット

ニホントカゲやカナヘビは日本の在来種ですが、飼育環境では寒い季節には保温が必要です。
爬虫類の保温器具にはいくつか種類がありますが、この2種は地表付近で活動する性質があることから、底からしっかり温められるパネルヒーターやバスキングライトが向いています。
バスキングスポットを設ける際は、表面温度が35℃前後になるよう設定し、光を片側に寄せてクールダウンできる光温度勾配を作ることが重要です。
また、バスキングシェルターを設置して、ニホントカゲやカナヘビが自ら体温調節できるようにしてあげるのも効果的でしょう。
底床材は、保温性と保湿性に優れていて、トカゲが潜ることができるヤシガラチップやハスクチップがおすすめです。
寒い季節を安全に乗り越えるためには、事前の準備が欠かせません。
ニホントカゲやカナヘビの様子を日頃からよく観察し、飼育環境に合った保温機材を早めに準備しましょう。
子どもの頃から川でのガサガサや昆虫・爬虫類の観察を楽しんできました。 学校の帰り道に採ったカナヘビの飼育から始まり、海外に住んでいた時にはトッケイヤモリの鳴き声を聞きながら生活していたのは今では懐かしい思い出です。





























