ヘビは意外に神経質な一面があり、飼育環境が変わった直後だと餌を食べなくなることもありますし、ストレスを溜めやすいため爬虫類や蛇飼育初心者の場合、気づかないうちに弱らせてしまっていることも。飼育環境下のヘビは、野性のものと比べると以下のような症状を起こしたり病気になりやすいです。
- 吐き戻し
- 体が腫れる
- 皮膚炎や拒食症
- 便秘や下痢
- 口内炎(マウスロット)
また体調不良を起こしていると脱皮不全なるケースもあるんです。
今回はヘビが起こしやすい症状・かかりやすい病気についてや、脱皮不全についてお話ししていきます。
ヘビがかかりやすい病気6種
飼育環境下にいるヘビが体調を崩して起こしやすい症状や、かかりやすい病気はこれからご紹介する6つの症状や病気が多いです。ヘビの病気は放っておいても治るどころか、悪化することがほとんどなので元気がない、病気と思われる症状が見受けられた場合は爬虫類を扱っている動物病院でしっかりと診察を受けましょう。
特に「体の腫れ」や「吐き戻し」といった症状や、「口内炎(マウスロット)」は、死んでしまう可能性が高いので注意が必要です。
吐き戻し
吐き戻しと嘔吐を間違えてしまう飼い主さんもいますが、嘔吐は食後数時間~数日後に起こる症状で、吐き戻しは餌を食べた直後に、未消化状態の餌を吐き出すもの。
原因は以下のようなものが考えられます。
- 蛇の体に触り過ぎてストレスを与えている
- 餌を食べた直後に触った
- 交尾など食事直後のストレスが増えた
- 細菌や原生・後世動物などの感染
- 腫瘍がある
- 餌を食べた直後に水を飲みすぎてしまったり、水分不足な状態
これ以外にも蛇は飼育ケージを変更するなど環境変化ですぐにストレスを感じ、吐き戻してしまうことがあります。
体がしっかりとできているアダルトの場合は、1ヵ月以上食べなくても大丈夫な場合が多いですが、成長途中の幼体だと体力が激減してしまい早急な処置を必要とすることがほとんどです。
強制的に食べさせるという方法もありますが、何度も繰り返し長期化すると死んでしまう可能性が高くなるので、動物病院で必要な処置を受け症状を改善するための対策などを相談しましょう。
体が腫れる症状
爬虫類全般的に清潔な環境を好みますが、不衛生な環境で蛇を飼育している場合には、体が腫れてくることがあり、次のような原因が考えられます。
- 長期間低温で飼育していた
- 栄養が足りていない
- ダニや内部寄生虫
- 体にできた傷からバイキンが入るなど
体が腫れているときは、その部分に膿が溜まっている状態なので、動物病院での処置が必要になります。特に内部寄生虫は体内の寄生虫を駆除しなければならないので早急な対処が必要です。
またメスの場合、交尾後にお腹部分が膨れてなかなか卵が出てこない場合には「卵詰まり」を起こしていることも。病気ではないものの、いつまでも体外に排出できない卵を体内にとどめていると、死んでしまうのでこの場合も獣医による処置が必要となります。
皮膚炎
蛇の皮膚炎はニキビに似たできものができる、皮膚の色が変わるといったものから、水泡や腫瘍ができてしまうな人間の皮膚炎と同じようないろいろな症状があります。
- 不衛生なケージや低温での飼育
- 外傷などからウィルスや菌が侵入
- ダニなどの寄生虫
このようなものが原因になることがほとんど。
腫瘍が筋肉の内側まで広がったり、水疱内の液体が濁ってくると「敗血症」という血液の感染症にかかってしまい死んでしまうケースが多いです。
常に床材が湿っているようなときはバイキンなどが増殖しやすくなるので、床材はこまめに交換して清潔な状態を保ち、皮膚炎の症状を見つけたら炎症がひどくならないようすぐに獣医の診察を受けましょう。
症状によっては完治まで1ヵ月以上かかることも珍しくなく、蛇にストレスを与えないよう気を付けながら根気よく治療を続けるのがポイントです。
拒食症
蛇飼育初心者で悩むことが多いのが、購入直後の蛇の「拒食症」ではないでしょうか。脱皮前や冬眠中、交尾時期のオスや妊娠しているメスは一時的に餌を食べなくなりますが、そういった時期でもないのに食べないときは要注意です。
単純に飼育環境が変わったことや温度や湿度が合わないなどといった環境要因で、餌を食べなくなることがあります。このようなときは適切な環境状態を作り、昼夜のサイクルを蛇に合わせてあげることで食べてくれるようになることが多いです。
蛇にも餌の好みというものがあり、与えた餌が気にくわなくて拒食していることもあるので、複数の餌を与えてみて一番食いつきの良いものがどれかを知るのも大切なことです。死んだ餌を食べないこともありますし、ピンセットから直接食べさせるときだけ食べるというものもいるので、餌の与え方も工夫してみましょう。
さらに蛇は拒食症の原因には「口内炎」のような病気や、「寄生虫」などがあげられます。長期飼育している蛇でも、餌から寄生虫に感染することもあるため、これまで動物病院などの専門医の診察を受けていないようなときは、一度診察受けることをおすすめします。
便秘・下痢
樹上や地中の巣穴でじっとしているというイメージを持つ人も多いでしょうが、蛇も人間のように食べ過ぎて運動不足の場合は便秘になりやすいです。飼育環境の温度や湿度が低いと特に便秘になりやすい傾向にあります。
- 便秘の治療方法は蛇をぬるま湯につける
- 腸管にミネラル・オイルを注入する
このような方法で蛇の便秘を改善する飼い主もいますが、毎回お湯につけるのも大変ですし、腸管へのオイル注入は熟練者が行わなければいけません。
一番簡単なのは飼育環境の見直しをして、ケージ内で蛇が移動しやすい環境を作って運動量を増やし、餌をあげる回数を少し減らす方法です。
蛇は下痢をするときに嘔吐を伴うことが多く、フンは水っぽいか柔らかめで臭いという特徴がありますが、日頃から両生類や魚などを与えていると柔らかめで臭いフンになることが普通なので、普段のフンの状態をチェックして変化がないかをチェックする必要があります。
飼育環境を改善することも大切ですが、寄生虫感染で下痢を起こしてることが考えられるので、下痢が続く場合は獣医の診察を受け、必要なら投薬してもらいケア方法などを相談しましょう。
口内炎(マウスロット)
は虫類の中でもヘビは特に口の感染症にかかりやすく、感染症の口内炎「マウスロット」とにかかることが多いです。この原因は口の中や口周りにできた傷から細菌に感染したか、体のほかの部分に異常があるケースがあります。
口の閉じ方がおかしいときは、一度口内をチェックしてあげましょう。口の中に出血でできた赤い点がある、腫れや口の形状の変形、歯茎と歯の境目部分にチーズのようなものがにじんでいるといった症状があるときはマウスロットの可能性が高いです。
口腔内に大量の粘液が出ている場合は、肺炎などの症状を引き起こしていることもありますし、口の裏に薄い膜上のものがあるなら、重症化していて治療が困難なケースのことがほとんど。
症状が軽度のものでも、たった数日で急激に悪化していくことがあるので、すぐに適切な治療を受ける必要があります。
マウスロットについては、こちらもご覧ください。
脱皮不全について
蛇は大きく成長するために、脱皮で古い皮を脱ぎ捨てますが脱皮をきちんと行うことのできない「脱皮不全」の状態に陥ってしまうと、幼体だと死んでしまう可能性も高く命にかかわることも。
脱皮不全は病気やダニなどの体長不良が原因で引きこされることもありますが、飼育環境内の湿度の問題で起きることも多く、空気が乾燥する冬に起こりやすいです。
脱皮不全は湿度で防ぐ!
病気やダニなどが原因ではなく飼育環境の湿度の問題で脱皮不全に陥っているときは、湿度を一度チェックしてみましょう。湿度が低い場合は、加湿器をケージのそばにおいて使用したり、古い皮をふやかすために、30分程度30度前後のぬるま湯につけてあげましょう。
そのうえで、柔らかめのコケなどを入れたケージに入れて古い皮を落としやすくする、と自力で脱皮しやすくなります。自力での脱皮が困難な場合は皮をふやかした状態で人の手でゆっくり古い皮をはがしていきましょう。
マッサージで皮をほぐして取ってあげるという方法もありますが、うまくいかないときはまだ脱皮の準備が不完全なことも考えられるので、無理に古い皮をはがそうとせず獣医に相談しましょう。
困難なときは脱皮補助剤を使おう
脱皮がうまくいかない場合は、市販されている「脱皮補助剤」を使って脱皮をサポートしてあげることができます。この補助剤は、脱ぎ捨てる「古い皮」の中に水分が入りやすくなるので、皮が柔らかくなり脱皮しやすくなるというもの。 新しい皮膚の保護もサポートしてくれますよ。
脱皮開始から日が浅い場合は湿度調整などで蛇自身が解決することもありますが、1~2カ月たっても脱皮がなかなか終わらないというような場合は、補助剤を使ったり、ぬるま湯につけるといった対処を行なってあげる必要があります。
まとめ:蛇が腫れる・吐き戻す!ヘビの病気から脱皮不全など体調不良の対処法とは
今回は蛇が体調を崩したきに起こしやすい症状や、かかりやすい病気についてお話ししました。
どの症状も飼育環境が適切でなかったり、不衛生な環境からウィルスなどに感染などといった原因があります。病気の症状ではないものの、吐き戻しや脱皮不全といった症状は体調不良が根本的な原因となるので、蛇が落ち着いて快適に過ごすことのできる空間を作ってあげ、日頃のケージのメンテナンスもしっかりと行うことで今回ご紹介した症状や病気の対策を行なうことができます。
動物病院は多数ありますが、犬や猫、ウサギなどが主流で蛇などのは虫類の診察が可能なところは限られています。病気になって慌てることのないよう、飼育前に爬虫類も診察可能なよい動物病院を探しておきましょう。
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