爬虫類が落ち着いて過ごせる環境を整えるために必須のシェルターには、大きく分けて陶器製と樹脂製の二種類があります。
それぞれ重さや保湿性、掃除のしやすさ、レイアウトアイテムとしての雰囲気などに違いがあるため、生体や飼育環境に合わせて選ぶのがおすすめです。
また、ある程度の大きさに成長した個体の場合、市販品では窮屈に感じてしまうようなときは、ホームセンターや100均で販売されているアイテムを加工して、自作のシェルターを準備するのも方法でしょう。
この記事では、陶器製・樹脂製シェルターそれぞれのメリットとデメリットを比較しながら、それぞれに向いている生体をご紹介します。
合わせて植木鉢やタッパーを使ったシェルターの自作方法と注意点も解説しますので、シェルター選びに迷っている方は参考にしてください。
陶器と樹脂!爬虫類のシェルターはどちらがいい?

爬虫類用のシェルターは陶器製か樹脂製の物が大半です。
どちらも隠れ場所として使用できる点は変わりませんが、重さや保湿性、掃除のしやすさなど使い心地に違いがあるため、生体に合わせた素材を選ぶのが、飼育のコツと言えるでしょう。
ここでは、爬虫類用シェルターの陶器と樹脂製それぞれの特徴やメリット・でメリットをご紹介します。
陶器製のメリット・デメリット
陶器製のシェルターはテラコッタ色がナチュラルな素焼きから、花瓶のように水色や白に色づけした可愛らしいものまで、ケージに馴染む高級感のある風合いが魅力です。
シェルター自体が水分を含んでくれるので、湿度を必要とする生体の飼育に活用できるなど実用性も抜群で、特に小型の爬虫類の飼育で重宝します。
一方、重量があって移動がしづらかったり汚れが付いたときに落ちづらかったりといった側面もあるため、使用環境に合わせて選定するのがおすすめです。
安定感抜群!保湿もできる
陶器製シェルターの一番のメリットは、本体が重く安定感があるところです。
爬虫類の中でも地表を歩き回るヤモリや小型のヘビなどは、軽いシェルターだと押して、せっかく決めたポジションから移動させてしまうことが少なくありません。
その点陶器製であれば、生体が上に乗ったり体を押し付けたりしたぐらいでは簡単に動かないので、レイアウトを維持しやすいです。
また、水分を含ませることができるというのも陶器製の特徴。上部に水を入れるタイプならば、シェルター全体にじわじわと水分が浸透して、内部の湿度を高く保つことができます。
爬虫類飼育で湿度の高い場所を用意することができるというのは非常に重要で、特に脱皮前の個体の体調を整えるのにぴったりです。さらに、水分が蒸発する際の気化熱で、シェルター内部が周囲よりわずかに涼しくなるのも好都合でしょう。
こうした性質をうまく利用すれば、ケージ内で湿度や温度の勾配を作りやすくなります。
重く、カビが生えやすい
安定感をもたらす陶器の重量ですが、お世話を続けていくうちに扱いづらいと感じることもあります。
例えば、掃除の度に持ち上げるとなると重さが負担になりますし、欠けたり割れたりしないよう取り扱いに気を遣うのが面倒に感じる方もいるかもしれません。
市販されている陶器製のシェルターのほとんどが小型から中型の生体向けの製品なのは、無理なく安全に扱えるサイズ感であることも理由でしょう。
また、素焼きタイプを常に湿らせていると、表面にカビや白い水垢が付着するところもデメリットです。
特に水道水に含まれるミネラル分は、乾燥を繰り返すと白く沈着して落ちづらくなってしまうため、こまめにブラシやスポンジ、時にはお湯をかけて洗浄する必要があります。
もし、消毒でお湯を使うときは急激な温度変化で割れないようご注意ください。
素材に負担をかけない方法で管理することを心がけましょう。
樹脂製のメリット・デメリット
加工がしやすい樹脂製のシェルターは、岩や流木を再現したものなどデザインの豊富さが魅力です。
一方人工的な滑らかさが脱皮のときに使いにくいなど、生体によっては不便に感じる面もあるため、こちらも目的に合わせて取り入れると良いでしょう。
軽量でレイアウトアイテムにもなる
ポリレジンなどの合成樹脂で作られたシェルターは、陶器製と比べて軽く扱いやすいです。
取り出しや移動が楽に行えて、ケージのガラス底にかかる負担も軽減できるため、比較的大きなサイズのシェルターでも扱いやすいでしょう。
また、岩や流木、洞窟、動物の頭骨などユニークなデザインが豊富なのも、成形しやすい樹脂ならでは。自然に近い雰囲気のケージやビバリウムにも合わせやすく、シェルターをレイアウトの一部として馴染ませることができます。
フンや床材などの汚れが付着したときも気軽にスポンジで洗えて、清潔に保ちやすいのもメリットの1つです。
手軽に扱えて見映えのするシェルターをお求めの方には、樹脂製が最高の素材と言えます。
脱皮のサポートには不向き
樹脂製のシェルターを選ぶときに注意したいのが、表面の質感です。
爬虫類は脱皮するとき、岩や流木などに古い皮をこすり付けながら剝がしていく習性があり、飼育ケージの中ではシェルターの表面を使って脱皮を進めることがあります。
陶器製のシェルターは表面に細かな凹凸があり皮を引っ掛けるのに役立ちますが、一方樹脂製のシェルターは表面が滑らかで、十分な引っ掛かりが得られず思うように脱皮が進まないこともあるでしょう。
とはいえ、樹脂製のシェルターを使うと必ず脱皮不全になるということではなく、流木やコルクなど、体をこすり付けられる素材を別に用意すれば十分脱皮をサポートできます。
シェルター単体の機能だけで判断せず、ケージ全体の環境を見ながら不足する役割を補うことが大切です。
陶器製・樹脂製シェルターに向いている生き物とは

陶器製と樹脂製では、それぞれ向いている生体や使い方が異なります。
飼育している爬虫類の性質を基準に選ぶと失敗しにくいでしょう。
ここではそれぞれのシェルターに向いている生き物をご紹介します。
陶器製シェルターに向いている生体

陶器製シェルターは、ヒョウモントカゲモドキやニシアフリカトカゲモドキなどの多湿環境を好む地表性トカゲやヤモリ、カエル、コーンスネークなど小型ヘビにおすすめです。
中でも素焼きのウェットシェルターは、一時的に湿度を上げたいときにや、局所的に湿度の高い場所を作りたいときに便利。
脱皮の兆候が見られたときなどに、水を入れておくだけで湿度を程よく調整できます。
素焼きの表面の細かな凹凸に体をこすり付けて、脱皮を進められるのもメリットです。
ただし、湿度を好む生体でも、常にシェルター内部をびしょびしょにしておけばよいわけではありません。
床材の湿り具合やケージ内の通気性を確認しながら、生体が自分で環境を選べるようにしておくことが大切です。
樹脂製シェルターに向いている生体

樹脂製シェルターは、フトアゴヒゲトカゲなどの乾燥した環境を好むトカゲや爬虫類に使いやすい素材です。
またクレステッドゲッコーのような樹上棲ヤモリを飼育するケージのレイアウトとして取り入れたり、ボールパイソンやアオジタトカゲなどある程度体が大きくなる生体の大型シェルターになったりと、扱いやすく汎用性が高いのも魅力でしょう。
乾燥を好む生体は素焼きのような水分を含み続けるアイテムが必須ではないため、日常的な管理のしやすさを優先する場合も、カビや水垢の発生を抑えやすい樹脂製が便利です。
一方で、表面が滑らかな製品では脱皮時の引っ掛かりが不足することがあります。
必要に応じて流木やコルクバークなどを配置して、生体が体をこすり付けられる場所を用意しておきましょう。
サイズがないときは自作シェルターもおすすめ!

生き物の成長により市販のシェルターでは窮屈になってしまったり、見た目と実用性を兼ね備えた好みのシェルターが見つからなかったりするときは、身近なアイテムを使ってシェルターを自作するのも一つの選択肢です。
素焼きの植木鉢などを使う
陶器製のシェルターと同じような感覚で使用できるのが、ホームセンターなどで販売されている素焼きの植木鉢です。
比較的安価でサイズの種類が豊富なので、小型種から陶器製のシェルターが少ない大型爬虫類まで、生体の大きさにぴったりのサイズを見つやすいでしょう。
霧吹きで表面を湿らせればある程度水分を保持できるのもポイントで、湿度を少し高めたい場合にも活用できます。
植木鉢をシェルターとするときは、半分に割って伏せたり、縁の一部を欠いて入り口を作ったりする方法が一般的です。
また、体が収まる太さの素焼きの土管ならば、加工せずそのままシェルターとして使うことができます。
ただ、植木鉢を割ると割れ方によって鋭い部分ができやすくなります。そのままだと爬虫類はもちろんメンテナンスなどのときに飼い主もケガをしてしまう危険がありますので、必ず切り口の状態を確認し、安全に配慮して設置するようにしてください。
タッパーやプラケースを改造
タッパーや食品保存容器のフタや側面に出入り口を開けて、シェルターとして利用する方法もあります。
密閉できる保存容器は中の湿度や温度を保ちやすいです。湿らせた水苔などを敷いておけば簡易的なウェットシェルターになるので、高湿度の場所を作りたいヘビやヤモリの飼育にぴったり。
中身の交換や容器の丸洗いも簡単にできるため、清潔な産卵床としても活用できるでしょう。
100円ショップなどでも購入できてサイズが豊富、特別な道具がなくても穴があけやすいなど、初めての方でも自作シェルター作りに挑戦しやすい素材であるというところも、愛されている理由です。
もし、大型の個体でタッパーでは窮屈なときは、小型のプラスチックコンテナや収納ケースが保存容器と同じような使用感で代用できます。
ただし、シェルターは大きければよいというわけではなく、爬虫類は体が壁に触れる程度の狭い空間を好むことも多いため、生体が落ち着ける広さを意識してサイズを選定するのがおすすめです。
加工した自作シェルターは切り口の処理に注意!
シェルターを自作するときに最も注意すべきポイントが、加工した部分の切り口の処理です。
植木鉢やプラスチックを切ったり穴をあけたりした切り口には、鋭い角やバリが残ることがあります。
そのまま使うと、生体が出入りした際に皮膚を傷つけたり、鱗がめくれたりする原因になりかねません。また、メンテナンスなどのときに人間が怪我をしてしまう危険もありますので、念入りに処理を施しましょう。
植木鉢の場合は、紙やすりやヤスリを使って角を丁寧に削ります。指で強めになぞっても引っ掛かりや痛みを感じない程度まで滑らかにしておくと安心です。
プラスチック容器も同様に、穴を開けたあとはバリを取り除きます。
ライターなどで軽く熱して丸める方法もありますが、加熱しすぎると変形や有害な煙の原因になるため慎重に行いましょう。
自作シェルターは、サイズや形を自由に調整できるのが大きな魅力ですが、安全性が損なわれては本末転倒です。見た目や作りやすさよりも、生体が安全に使えることを最優先に加工することを心がけてください。
まとめ:爬虫類のシェルターは陶器と樹脂どちらがいい?素材のメリットなどを紹介

爬虫類のシェルターの素材について解説しました。
爬虫類のシェルターは陶器製と樹脂製の二種類が主流です。
陶器製シェルターは安定感と保湿性に優れ、脱皮前などで局所的に湿度を高めたい生体に向いています。
一方、樹脂製は軽量で扱いやすく、大型種や乾燥した環境を好む生体にも使いやすい素材です。
どちらが優れているという物ではないため、好みの使い心地や生体の大きさや必要な湿度、日々のメンテナンス方法に合わせて選定すると失敗しづらいでしょう。
市販品でちょうどよいサイズが見つからない場合は、素焼きの植木鉢やタッパーなどを使って自作する方法もあります。
自作シェルターは加工した切り口は必ず滑らかに整え、安全に出入りできる状態にしてから使用してください。
シェルターは、生体が落ち着いて過ごすための大切な場所です。
見た目だけで判断せず、飼育している種類にとって使いやすい素材とサイズを選ぶと、より良い飼育環境を整えることができるでしょう。
ほかにもさまざまなコラムがありますので、ぜひそちらもご覧ください。

幼少の頃より生き物が大好きです。身近なカナヘビからオオトカゲまでさまざまな爬虫類を飼育してきました。また水族館に勤務していた時は、爬虫類コーナーの担当もしていました。これまでの経験を活かして、爬虫類飼育が楽しくなるようなコラムを紹介していきます。
























