長寿の象徴として知られるカメを、ペットとして長生きさせるには成長段階に合わせて適切な飼育環境を整えることが重要です。
年齢によって餌やバスキングスポットなどの調整を行うことが望ましいですが、実はカメはペットショップから迎えた場合でも生年月日がわかることがまれで、野生で捕獲した個体や譲り受けたカメであれば、なおさら正確な年齢が把握できないケースが少なくありません。
見た目にも加齢による明確な変化が出づらいのですが、いくつかのポイントを抑えて観察することで大まかな年齢を予測することは可能です。
この記事では、カメの年齢の見分けるときのポイントをご紹介します。水棲カメとリクガメで見られる性成熟のサインについても解説しますので、飼育中のカメの成長を知る参考にしてください。
カメの年齢は判断が難しい!

カメの外見の変化には、年齢だけでなく食べている餌やゲージ内の温度、日光や紫外線の当たり具合など飼育環境の違いが大きく影響します。
例えば、同じ時期に生まれたカメ同士でも、適切な温度環境の中で餌をよく食べて、日光や紫外線ライトを十分に浴びた個体は、早く大きく成長しやすいです。一方で、餌の量が少なかったり、温度が低めで日照時間が不足していたりすると、体が大きくなりづらいでしょう。
見た目で大体の年齢は予想できるものの、正確な年齢を当てることは獣医師でも難しいと言われるのは、このような環境による成長差が大きな理由です。
大まかなライフステージを見極めよう
餌や飼育環境を整える上でカメの年齢を知る必要があるときは、正確な数字にこだわらず、大まかなライフステージを把握する程度で十分です。
「成長途中の若い個体なのか」「十分に成熟した大人なのか」「老齢に差し掛かっているのか」ということがわかるだけでも、飼育管理の方法を調整することができます。
ライフステージに合わせた飼育環境や食事内容を整えて、健康に長生きを目指しましょう。
カメの年齢はどこでわかる?確認ポイント

正確な年齢の特定は難しいカメですが、体をよく観察することでライフステージをある程度推測することはできます。
体長・甲羅・皮膚・爪・食性・活動量など、複数のポイントを組み合わせて総合的に判断しましょう。
ここでは、カメのライフステージを判断するための確認ポイントをご紹介します。
体長
カメの成長段階を知る目的で体長を確認するときは現在の大きさではなく、その種類がどのくらいまで成長するのかを基準に考えるのがポイントです。
例えば最大体長が約20cm程度になるロシアリクガメの場合、甲長が10cm前後ならばまだ成長途中であることが推測できます。
カメの成長スピードは生後数年間が最も早く、その後は少しずつ緩やかになっていくことから、まだ半分程度のサイズで食欲も十分にあるのは、若い個体である可能性が高いです。
種類ごとの最大サイズは飼育書や飼育情報サイトで確認できますので、飼育しているカメがその種の成長曲線のどのあたりにいるかを把握してみてください。
甲羅の成長線
甲羅の甲板一枚一枚に刻まれる年輪のような線は、成長線と呼ばれるカメの成長を知る重要な手がかりの一つです。
成長線は中央から外側に向かって増えていくため、数えることでおおよその年齢を把握できます。一般的には1年に1本増えると言われており、単純に考えれば本数=年齢と推測できるでしょう。
ただしこの成長線は飼育環境によって乱れることもあるため、これだけで年齢を把握できるわけではない点には注意が必要です。
特に水棲カメは冬眠を経験すると成長線がはっきりと出やすくなる一方、室内飼育で一年中温度が安定している個体は、線が乱れたり判別しにくくなったりすることがあるので、あくまで目安程度に考えることをおすすめします。
また、成長線の濃さも年齢によって変化するポイントで、栄養状態がよく安定した環境で育っている若いカメは、比較的均等ではっきりとした成長線が見られます。一方で、高齢の個体では成長線が薄くなり、数えにくくなっていることも多いです。
首・脚のシワ

人間と同じように、カメも年齢を重ねると皮膚の状態が変化してきます。
若いカメは皮膚に張りがあり、首や脚まわりもすっきりして見えることがほとんどです。対して高齢のカメは皮膚の張りが失われて、シワが深く刻まれるようになります。特に首回りや脚の付け根の皮膚が少しダブついている個体は、年齢を重ねた老齢のカメの可能性が高いでしょう。
また、甲羅の表面に見える細かなシワのようなものも、長い時間をかけて少しずつ深くなっていくため、シワが目立つ=年を重ねていると判断する基準になります。
ただし、皮膚の状態は乾燥や栄養状態、脱皮不全の経験などでも変わるため、シワがあるから高齢と決めつけるのではなく、体長や甲羅、食欲などと合わせて総合的に判断することが大切です。
爪とくちばしの状態
爪やくちばしの状態からもライフステージの推測が可能です。
水棲カメの場合、加齢とともに爪がブラウンからグレーがかった色へと変化し、やや脆くなっていく傾向があります。若いうちは色が明るくしっかりしていることが多いため、比較的わかりやすいです。
リクガメの場合は、長く生きている個体ほど爪が太く、がっちりした印象になります。
また、くちばしが少しすり減っているのも、長くエサを食べてきた証として年齢を感じられる部位の一つです。
若いリクガメはくちばしが伸びやすく、硬い葉や繊維質の多い餌が不足していると、自然に削れず伸びすぎて獣医師にカットしてもらわなければならないこともあるほどなので、状態をよく観察してみましょう。
嗜好性と食欲の変化
餌の好みや食べ方の変化も、加齢により現れるサインです。
ミドリガメを始めとした水棲カメは、若い頃は体づくりのために肉食性の配合飼料や小魚、赤虫などを好む傾向がありますが、年齢を重ねるにつれて植物食の割合が増えていき、水草などを積極的に食べるようになります。
このような食性の変化は、子亀から大人へ成長していく上での一つの目安となるでしょう。
対してリクガメはそもそも種類ごとの食性差が大きく、年齢による食べ物の変化を感じづらいです。この場合は、何を好んで食べるかよりも、食欲の強さや食べる量の変化に注目してみることをおすすめします。
成長期の若い個体は餌への反応が良く、高齢になると、活動量や代謝が落ちて食べる量が減っていくことが多いです。
ただし、急な食欲低下は年齢ではなく、温度不足や体調不良、環境の変化が原因になっている可能性があるため、変化のスピードもよく確認しながら判断するのが適切でしょう。
活動量の変化
カメの活動量も、年齢とともに変化していきます。
水・陸に関わらず若いカメはとにかくよく動き、水槽や飼育ケージの中を活発に動き回る個体が多いです。餌に反応するスピードも速く食欲旺盛な様子が見られます。
大人になるにつれて行動に落ち着きが出て、カメらしいゆったりした動きに変化していくことでしょう。リクガメならば、日光浴やバスキングを楽しみながらのんびり過ごす時間が増えていきます。
ただし、動きが急に鈍くなった、全く動かなくなったという場合は、加齢ではなく温度不足や病気が原因に潜んでいる可能性があるため、食欲や目の状態、呼吸の様子も合わせて確認してみてください。
カメの成長がわかる!性成熟のサイン

カメの正確な年齢がわからないときでも、成体になったかどうかは性成熟のサインからある程度判断が可能です。
水棲ガメとリクガメではサインが異なるため、それぞれの特徴を知っておくと成長段階を見分ける参考になるでしょう。
ここではカメの性成熟のサインについて解説します。
水棲カメの場合:黒化など
水棲カメの性成熟のサインは、比較的わかりやすい形で見た目に現れます。
代表的なのがクサガメの黒化です。3歳以上の成熟したオスに現れる現象で、顔や体の模様が徐々に消えていき、全身が黒っぽい色へと変化していきます。
またミドリガメの仲間では、成体のオスの前足の爪が長く伸びるのも性成熟の影響。これはメスへのアピールで伸びる自然な成長の証なので、爪が異常に伸びているからといってすぐにカットする必要はありません。
こうした外見の変化は、カメが繁殖できる年齢に達したサインでもあります。複数のカメを一緒に飼育している場合は、繁殖や産卵への備えを意識し始めるタイミングとして覚えておきましょう。
リクガメの場合:尻尾が伸びるなど
リクガメは成長して性成熟を迎えると、体つきや尻尾、腹甲に変化が現れます。最もわかりやすいのが、尻尾の変化です。オスは成熟するにつれて尻尾が太く長くなり、メスは短くぽってりとした形になってきます。
この違いは、雌雄の判別にも役立つポイントです。
さらに、繁殖期を迎えたオスは、お腹側の甲羅である腹甲がへこむことがあります。これは交尾の際に、メスの丸みのある甲羅に体を合わせやすくするためのものです。
リクガメの性成熟は、見た目の変化がゆっくり現れるため、ある日突然わかるものではありません。日頃から、尻尾や腹甲の形を観察したりすると、成長の様子を把握しやすくなるでしょう。
ちなみに、種類によって性成熟する年齢は差はありますが、オスは約6歳以上、メスは約8歳以上で成熟することが多いです。
まとめ:カメの年齢を見分ける方法!水棲カメ・リクガメの年齢判断ポイントと性成熟

カメの年齢の見分け方について解説しました。
カメは正確な年齢を見極めるのが難しい生き物ですが、体や食性の変化を確認することで、大まかに幼体・成体・老体程度のライフステージを推測できます。
年齢を推測できる確認ポイントは、体長、甲羅の成長線、首や脚のシワ、爪とくちばしの状態、食性の変化、活動量の変化などです。
ただ、すべてが加齢によるものというわけではなく、急な変化は病気や温度の管理不足などが原因となっていることも多いため、様々なポイントを組み合わせて総合的に判断するのが良いでしょう。
また、種類ごとの性成熟のサインを覚えておくと、成体になったどうかを判断する参考になります。
そして変化に気づいたら、飼育環境の見直しや繁殖への備えを意識してみてください。
カメは長生きな生き物なので、身体の変化もゆっくりです。日々の世話をする際に、身体の観察をすることで、成長に伴う変化にも気付きやすくなるでしょう。

幼少の頃より生き物が大好きです。身近なカナヘビからオオトカゲまでさまざまな爬虫類を飼育してきました。また水族館に勤務していた時は、爬虫類コーナーの担当もしていました。これまでの経験を活かして、爬虫類飼育が楽しくなるようなコラムを紹介していきます。




















