爬虫類の主食となる昆虫やマウスには、生きたまま与える活餌と保存性に優れた冷凍餌があります。
どちらも栄養価に優れた良い餌ですが、与え方や扱いやすさ、捕食行動などに違いが出るため、どちらを購入したらよいのか迷ってしまうこともあるでしょう。
一般的に活餌は食いつきが良く、自然な爬虫類の姿を楽しみやすい、冷凍餌は保存性が高く飼育者が管理しやすいというメリットがあると言われています。
さらに、爬虫類の種類や個性によっても好む餌、飼育に適した餌が異なるため、様々な情報を精査して餌を決定するのがおすすめです。
この記事では、爬虫類に与える活餌と冷凍餌の違いについて解説します。
それぞれのメリットや餌の与え方、ダスティングやガットローディング、冷凍餌の解凍方法などにも触れていきますので、餌選びや給餌方法に迷っている方はぜひ参考にしてください。
爬虫類の活餌!特徴とメリット

初めに活餌と冷凍餌、それぞれのメリットや栄養価について解説します。
まずは活餌についてです。
コオロギやデュビアなどを生きたまま与える活餌は、トカゲやヤモリなどの昆虫食性の爬虫類でよく利用されます。
昆虫が動く姿が食欲を刺激し食いつきが良い一方、管理に手間がかかるため、特徴をよく理解したうえで飼育に取り入れると失敗が少ないです。
鮮度抜群!圧倒的な食いつき
活餌の最大のメリットは、爬虫類が持つ狩猟本能を刺激しやすく、食いつきが非常に良いところです。
多くの昆虫食性爬虫類は動いているものを獲物として認識する習性があり、動かない餌は口にしなかったり、飼育下で食欲が落ちてしまったりする個体も珍しくありません。そんなとき、動く活餌をケージ内に入れると、興味を示して餌を食べるきっかけになります。
さらに、自分で餌を追いかけて捕まえる行動はよい運動になりますし、本能が刺激されてより健康的に育ちやすくなるでしょう。広さのある飼育ケージであれば、獲物を探して移動したり狙いを定めたりする姿を観察できるのも活餌ならではです。
また、昆虫に含まれる水分をそのまま摂取できるところも活餌の利点で、脱水の予防にも活用できます。
ただし、活餌をケージ内に放したままにするのは厳禁です。食べ残しやトラブルの元になるため、給餌量をしっかり管理しながら安全に配慮して与えることを心がけましょう。
餌用の生体を飼育する手間がかかる
活餌は、昆虫やマウスを生きたまま管理しなければならない点で、他の餌よりも大きな手間がかかります。
餌用とはいえある程度健康な状態を維持しなければなりませんので、飼育セットや餌、適切な温度管理が必須。
さらに、実際に管理している方からは昆虫やマウス特有の臭いや鳴き声が気になるという声も多く聞かれます。
注意点を理解したうえで管理を始めるのがおすすめです。
爬虫類の冷凍餌!特徴とメリット

殺菌したコオロギやマウスを鮮度を保ったまま急速冷凍した冷凍餌は、管理の手間がかからず保存性が高いのが大きな特徴です。
与えるときも必要な分を解凍するだけなので、初心者の方でも扱いやすいでしょう。
管理や給餌が簡単
冷凍餌の一番の利点は、管理の手間が少なく扱いやすいところです。
冷凍餌は活餌のデメリットであった、餌用の生体を生きたまま飼育する手間や、鳴き声などの負担がほとんどありません。
冷凍庫にストックしておき、必要な量を取り出して解凍するだけで、給餌が簡単に行えます。
虫が苦手な方でも比較的抵抗感なく取り入れられますし、脚を取り除いた下処理済みの冷凍コオロギなども販売されているため、初めて昆虫餌にチャレンジする方にもおすすめです。
もし食べ残しがあったとしても、爬虫類がかじられて傷つくような心配がありませんし、給餌量の把握がしやすいところも、扱いやすさを感じるポイントでしょう。
また、市販の冷凍餌は生きた餌をそのまま与える場合と比べて、寄生虫や雑菌などを持ち込むリスクが少ないところもメリット。完全に無菌になるわけではありませんが、衛生管理された商品を選ぶことで、活餌由来のトラブルを減らすことができます。
冷凍焼けに注意!

便利な冷凍餌ですが、長期間保存していると冷凍焼けを起こすことがあります。
冷凍焼けした餌は乾燥が進み、品質が低下している可能性が高いです。
購入後は密閉できる袋や容器に入れて、空気に触れる時間をできるだけ減らして保存しましょう。
一度に大量購入するよりも、数か月程度で使い切れる量を目安に購入すると鮮度を維持しやすいです。
昆虫とマウスの栄養価について

活餌や冷凍餌は人工餌に比べて栄養価が高く、しっかり成長させたいときなどに特におすすめです。
しかし、一つの餌ばかりを与えていると、栄養が偏ってしまうリスクがあるため、含まれている栄養素を確認しながら、適宜バランスを補う工夫をする必要があるでしょう。
ここでは活餌や冷凍餌に多い昆虫とマウスの栄養面の特徴を解説します。
昆虫:たんぱく質が豊富!ダスティングで栄養バランスアップ
コオロギやデュビアなどの活餌や冷凍餌は、筋肉や体を丈夫に育てるために必要なたんぱく質を豊富に含んでいます。
嗜好性も高いので、特にしっかり食べさせたい、育ち盛りの個体を飼育する際に重宝するでしょう。
ただし、昆虫ばかりを与えているとリンの過剰摂取になりやすい点には十分注意が必要です。
リンは体を作るのに必要な栄養素である一方、多すぎるとカルシウムの吸収を阻害して、骨の形成不全や代謝性骨疾患(MBD)を引き起こす危険があります。
活餌や冷凍餌と並行して人工餌を与えたり、昆虫にカルシウムパウダーをまぶしたり(ダスティング)して、積極的にカルシウムを摂取させ、栄養バランスを整えることが重要です。
ちなみに、生きた昆虫の場合は昆虫に栄養価の高いフードを食べさせて栄養価を高める、ガットローディングでも同様の効果を得られます。
マウス:ヘビや大型爬虫類の完全栄養食

ヘビや肉食性大型爬虫類の飼育で利用されるマウスは、完全栄養食と呼ばれることもあるほど、栄養バランスに優れています。
筋肉から骨や内臓、血液に至るまで丸ごと全部食べられるため、これだけでカルシウムをはじめとした様々な栄養摂取することが可能。昆虫にはほぼ毎回必要なカルシウムパウダーのダスティングなども、基本的には必要なく、マウスだけで給餌が完結します。
そんな優秀なマウスですが、残念なことにすべての爬虫類に与えられるわけではありません。
飼育している生体の食性を確認し、適合した場合にのみ主食として活用しましょう。また、与えられる品種の場合でも、体格とマウスのサイズが合っていないとうまく食べられないことがあるため、生体の大きさに合ったサイズを選ぶことが大切です。
活餌と冷凍餌の有効な与え方

活餌と冷凍餌にはそれぞれ適した与え方があり、正しく使うことでより効率的に栄養を摂取させることができます。
餌の種類に合わせた方法を知り、生体が食べやすい状態で与えましょう。
活餌:ピンセットで一匹ずつつまんで与える
給餌量をきっちり管理しながら活餌を与えたいときは、ピンセットで一匹ずつつまんで、生体の目の前まで運んであげる方法がおすすめです。
飼育者が数えながら与えられるので何匹食べたかを把握できて、健康管理がしやすくなります。また、ケージ内でコオロギを見失ってしまう心配がないのも安心でしょう。
給餌に使用するピンセットは、爬虫類が勢いよく飛びついても口内を傷つけにくい、先端が程よく丸いタイプが使いやすいです。
種類によっては食い付いた際に、ピンセットごと口に入れてしまう場合もあります。その際は無理に引っ張らず、落ち着いて口から抜いてください。
活餌:餌皿で与える
昆虫が逃げ出しにくい内側に返しの付いたタイプの餌皿を使えば、活餌も餌皿で与えることができます。
餌皿を使うメリットは、爬虫類が自分で餌を見つけて狙いをつけて口に入れるまでの、一連の捕食行動を自然に近い形で観察できるところです。
また、飼育者が1匹ずつ与える必要がないので、給餌の手間も減らせます。

一方、活餌でも食べ残しがあった場合は、気づいた段階で飼育者がケージ外に取り出してあげる必要がある点には注意してください。
放置された昆虫やマウスが空腹になると、休んでいる爬虫類をかじって傷つけてしまうケースがあります。
給餌後しばらくしたらケージ内を確認し、残っている活餌がいれば必ず回収しましょう。
冷凍餌:湯煎で解凍しよう
冷凍餌は、中心までしっかり解凍してから与えるのが基本です。
解凍方法や解凍時間、確認方法は餌の種類によって異なるため、それぞれの正しい方法を確認してください。
必要な分量を密閉できる袋に取り出して、40~50℃程度のお湯で湯煎します。湯煎の時間はピンクマウスで約10分、アダルトサイズのマウスで約30分が目安です。解凍後はお腹や背中を触ってみて芯が残っていないか、中まで温かくなっているかを確認してください。
必要な分量を密閉できる袋に取り出して、30~40℃程度のお湯で5~10分湯煎するか、30分~1時間ほど室温で自然解凍します。解凍後は指で触ってみて芯や冷たさが残っていないかを確認してください。表面の水分をふき取り、必要に応じてダスティングをしてから爬虫類に与えます。
いずれの場合も解凍までに少し時間がかかるため、スケジュールに余裕をもって準備を進めましょう。
解凍が不十分な餌を与えると、爬虫類が体調を崩す原因になります。
また、急いでいるからと電子レンジを使用するのも厳禁です。庫内で爆発したり、品質劣化を起こすことがあるため、必ず正しい方法で解凍した餌を与えるようにしてください。
冷凍餌:ピンセットで動かして食いつきを良くしよう

冷凍餌は動かないため、そのまま置いただけでは餌として認識できず食いつかない個体も多いです。
その場合は、ピンセットでつまんで生きている餌のように動かしてみましょう。生体の目の前で小刻みに振ってあげると興味を示しやすくなります。
また、床の上をゆっくり這わせたり、一度近づけてから少し遠ざけたりといった動きも効果的です。獲物の動きが狩猟本能を刺激して、冷凍餌でも勢いよく食いつくことがあります。
ただし、顔の前で激しく振り回す必要はありません。生体の様子を見ながら、あくまでコオロギやマウスが生きてるかのように、自然な獲物の動きを意識して誘うのがポイントです。
まとめ:爬虫類の活餌と冷凍餌!それぞれメリットと栄養の違いとおすすめの与え方

爬虫類の活餌と冷凍餌について解説しました。
生きた昆虫やマウスを利用する活餌は、嗜好性が非常に高く爬虫類本来の捕食行動を引き出しやすいのが大きなメリットですが、餌用の生き物も飼育しなければならないという手間がかかります。
一方冷凍餌は、保存がしやすく管理の手間が省けるのが魅力。生きた昆虫やマウスが苦手な方でも比較的抵抗なく扱えますが、動かない分食いつきは活餌よりも悪くなります。
また、昆虫餌の場合は活餌・冷凍餌に関わらずカルシウムが不足しやすいため、必ずダスティングをして栄養バランスを整えてから与えるようにしましょう。
活餌と冷凍餌のどちらが優れているというわけではなく、飼育している爬虫類の食性や個体の好みに合わせて選ぶことが大切です。
それぞれの特徴と注意点を理解し、安全で栄養バランスのよい給餌を心がけてください。

幼少の頃より生き物が大好きです。身近なカナヘビからオオトカゲまでさまざまな爬虫類を飼育してきました。また水族館に勤務していた時は、爬虫類コーナーの担当もしていました。これまでの経験を活かして、爬虫類飼育が楽しくなるようなコラムを紹介していきます。





















