フトアゴヒゲトカゲ飼育の体験談|フトアゴ飼育スタッフに聞くエサや病気対処、細やかな調整テクニック

今週も爬虫類。jpの運営スタッフへ爬虫類飼育に関するインタビューをしました!
本日はお子さんと一緒にフトアゴヒゲトカゲを飼育しているIさんに、飼育のきっかけから使用しているアイテム、エサや便秘対策等について伺いました。

Iさんが飼育しているフトアゴヒゲトカゲについて


前回はNさんのヒョウモントカゲモドキ(レオパ)の飼育体験談についてお聞きしましたが、IさんもNさんのように様々な生き物の飼育経験があるそうです。

飼育経験がある生き物
  • 十姉妹
  • ゴールデンハムスター
  • 蝶・蛾、カマキリなどの昆虫(幼虫~羽化まで)
  • カブトムシ
  • プラティ、エンゼルフィッシュなどの淡水熱帯魚
  • ベタ、メダカ、ヤマトヌマエビ
  • クサガメ
  • カナヘビ(卵から育てました)
  • ヒョウモントカゲモドキ
  • フトアゴヒゲトカゲ

メインの執筆は爬虫類.jpですが、ホームページ制作やSNS運営、アクアリウムコラムの情報追加などマルチな活動をされています。

そんなIさんに、現在飼育されているフトアゴヒゲトカゲ・ころっけちゃんについて詳しくお聞きしました。

あなたが飼育している爬虫類/両生類について教えてください


フトアゴヒゲトカゲの『ころっけ』です。
モルフはレッドヘテロトランスで、年齢は2歳半(誕生日不明のため推定)のメスです。

トゲトゲしたオレンジ色の背中がコロッケに似ているのと、「素朴で可愛らしい名前を付けたい」という娘の希望により『ころっけ』と名付けました。

飼育を始めたきっかけは?

小学生の娘が、ある日突然「フトアゴヒゲトカゲを飼いたい!」と言いました。
動画サイトで見かけて、その可愛さにすっかり夢中になったようです。

当時、フトアゴヒゲトカゲの存在を全く知らなかった私は、爬虫類ショップに足を運んで実際に生体を見たり、動画サイト等で飼育方法を調べていくうちに、私もその可愛さの虜に。
夫は生き物の飼育にやや反対だったため、説得材料として「初期費用・維持費・お世話のルーティン」を徹底的に娘と調べた上で説得し、娘の誕生日祝いでお迎えしました。

飼育環境について教えてください

ケージは、「ハチクラ ホワイトタンク(60 x 45 x 45)」を使用しています。(現在は廃盤となっています。)
60cmケージはフトアゴヒゲトカゲの成体には少々小さいサイズですが、家族みんなと過ごす時間を長く取りたいため、我が家のリビングに設置できる60cmにしました。
インテリアに合わせて白いケージにしたかったのと、爬虫類専門店の「爬虫類倶楽部」さんの商品なら性能的にも間違いないと思ったのが決め手です。

ただ、やはり60cmは手狭なので、しっかりと温度勾配を作れるようレイアウトを工夫したり、運動不足にならないよう毎日部屋んぽの時間を設けたりしています。
リビングにもバスキングスポットを用意し、部屋の中を自由に過ごす時間を作っています。

ゼンスイ
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バスキングライトは、「ゼンスイ マイクロサン」を使用しています。
季節や気温に応じて28Wと53Wを使い分け、ホットスポットを35~40℃でキープできるようにしています。

紫外線ライトは、ケージ全体を照射できる「バータイプソラリウム」と、局所的に照射する「マイクロUV LED」を併用しています。
バスキングスポットはUVB量を強めにしつつ、ケージ内のどこにいても紫外線が浴びられる環境作りをしています。

ビバリア
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保温は、「ビバリア カーボンヒーター80W」をサーモスタットに繋ぎ、クールスポットを25℃でキープしています。

夜間はしっかり体温を下げて身体を休ませたいため、パネルヒーターはあえて使用していません。
朝起きた時にお腹が冷えていて最初は大丈夫かと心配しましたが、最低でも25℃を保っているため特に問題なく過ごせています。
ころっけの場合は、その方が生活リズムのメリハリができて食欲や排便が安定するようになりました。

エサについて教えてください

Hikari(ヒカリ)
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レパシー (REPASHY)
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3日に1回の頻度で、小松菜と人工フードを与えています。

小松菜には、カルシウムパウダーとレプラーゼをダスティングして与えています。

人工フードは、「Hikari フトアゴドライ」と「レパシー ベジバーガー」を与えています。
1種類だけだと味に飽きてしまうのか食いつきが悪くなるため、我が家ではこの2つを使い分けています。

絶食日には、脱水にならないようスポイトで水を与えています。
水分を摂りすぎるとうんちが緩くなってしまうため、うんちの状態を見ながら与える水分の量を調整しています。

たまにおやつとして、リンゴやイチゴなどの果物やヨーロッパイエコオロギを数匹与えています。
また、旬の野菜や果物を少しおすそ分けして一緒に食べることもあります。

同じ旬のものを一緒に美味しく食べられるのは、飼い主としても幸せを感じるひとときです。

お迎え当初は、生後5~6ヵ月のヤングアダルトでした。
その頃は、野菜は毎日・コオロギ10匹を2日に1回の頻度で与えていました。
その後、成長に伴ってそのペースの給餌ではお腹が空かないのか、野菜の食いつきが悪くなってきたため、徐々に給餌間隔を空けて今のペースに調整していきました。

フトアゴヒゲトカゲ飼育のリアル


フトアゴヒゲトカゲは、爬虫類の中でも初心者向けと言われています。
ただ、初心者向けとはいっても、温度管理や健康管理は欠かせないため、ある程度の飼育知識は必要だと感じています。

特に温度変化は体調に大きく関わります。
長く一緒に暮らしていくためにも、「元気そうだから大丈夫」と思い込まず、ささやかな変化にも気づけるよう、日々のお世話の中でよく様子を見るようにしています。

一日のスケジュールは?

↑ハンモックが大好き!ハンモックとクッションはお手製です。

ころっけの一日

6:00 ライト点灯
6:30 リビングのバスキングスポットでバスキング
7:00 身体が温まった頃を見計らって、給餌(3日に1日)
~10:00 部屋んぽ(排泄はこのタイミングで行います)
~18:00 ケージ内で活動(バスキングや休憩など)
18:00 消灯
18:00~6:00 就寝

フトアゴヒゲトカゲを飼育していて まず感じたのが、「生活リズムがとても規則正しい」ということです。
私は在宅ワークで仕事をしているため、日中はほとんど一緒に過ごしています。
ころっけと一緒に過ごす時間がほしくて、在宅ワークという働き方を選んだほどです(笑)。

また、子どももまだ小学生と幼稚園児で、夜は早めに消灯するため、フトアゴヒゲトカゲの生活リズムは私たち家族にもとても合っていると実感しています。

排泄の頻度は?何日置きですか?


春や秋は2~3日に1回、夏はほぼ毎日、冬は1週間に1回と、温度管理をしていても季節によって排便の頻度が変わります。

ころっけは排泄にとても強いこだわりがあるようで、ケージの中では絶対にうんちをしません。自分のお家が汚れるのが嫌なのかもしれません。

リビングに設置したバスキングスポットにペットシーツを敷いていますが、必ずそこで排泄をします。

部屋の中を歩き回っているときも、催すと自分からペットシーツの上に行って用を足します。さらに、ケージの中にいるときは「扉を開けて!」とアピールし、部屋に出した途端にペットシーツへ向かってダッシュします。
(個体差はあると思いますが)フトアゴヒゲトカゲはトイレを覚えるとても賢い生き物なのでは…?と思っています。


便秘をした時は、サーモスタットの設定を28℃くらいにし、クールスポットの温度を上げて様子を見ています。
また、レプラーゼを溶かした水をスポイトで与えたりしています。
体を温めたり水分を与えたりしながら、本人の消化のペースを見守るようにしています。

ちなみに、温浴は便秘解消に効果的!といわれていますが、ころっけをお迎えしたショップの店員さんに「温浴は排便を促す一方で、未消化の状態でも無理に排出してしまい、かえって脱水につながる可能性がある」とアドバイスをいただきました。
そのため、我が家では便秘解消を目的とした温浴は行わないようにしています。

脱皮の頻度はどれくらいですか?

↑なぜかアゴの一部だけ脱皮しませんでした(笑)。

ヤングアダルトの頃は、1ヵ月毎に脱皮をしていました。
アダルト以降は、3ヵ月~半年に1回といった感じで頻度が緩やかになりました。

フトアゴヒゲトカゲは部分脱皮なので、背中の一部だけ、忘れた頃に残りの背中、なぜか指の一部だけなど、「なんでここだけ?」と思うような個性的な脱皮をします。
そこがフトアゴヒゲトカゲの魅力の一つだと思っています(笑)。

脱皮が進んで皮が剥け始めたとき、「痒がっていてかわいそう」と思い私が剥いた結果、うまく剥がれず古い皮が残ってしまったことがありました。
自然に剥けるのを見守る方が良いと深く反省しました。
この時残ってしまった古い皮は、次の脱皮の際に綺麗に剥けました。


見守った方が良い、と前述しましたが、鼻えのきだけは採集させていただいています。
軽く引っ張ってみて、スルッと抜けそうな時に採集しています。

鼻えのきとは?

脱皮の際に取れた、鼻の穴の古い皮のこと。
脱皮殻の形状がえのきに似ていることから、飼育者の間で『鼻えのき』と呼ばれ親しまれています。
ちなみに、耳の鼓膜の脱皮はエリンギに似ていることから『ミミンギ』と呼ばれています。

通院はしたことありますか?どんなことで通院しましたか?

目の炎症

お迎え当初に、バスキングと紫外線を兼ね備えた水銀灯のライトを使用していたのですが、ライトの光が右目に直撃するように当ててしまっていたため、右目をよく閉じるようになってしまいました。

診察したところ、雪目手前の目の軽い炎症とのことでした。
処方してもらった塗り薬を塗布し、ライトの照射位置を見直したことで数日で改善しました。

口腔内の腫れ

口の中に白い腫れを見つけ、マウスロット(口内炎)では?と思い受診しました。

診察の結果は、マウスロットではなく脱皮の皮でした。口腔内も脱皮の残りカスが溜まるのかと驚きました。
ピンセットで取り除き、軽く消毒しただけで終わりましたが、放置するとマウスロットにも繋がるようです。

爬虫類のマウスロットは最悪の場合命にも関わるため、少しでも違和感を感じた場合は早めの受診が大事だと痛感しました。

夏場や冬場の温度管理はどうしてますか?

夏は、エアコンを常時28℃に設定した上で、ケージの扉に100均で購入した網を取り付けケージの通気性を上げています。この方法は、知人から教えていただきました。

秋~冬は、カーボンヒーターをサーモスタットに繋げ、25℃に設定しています。

ヒヤッとしたエピソードや、最近のトピックスを教えてください

我が家はクサガメも飼育しており、庭にワイヤーネットで自作した陸地があります。
ころっけをその陸地で日向ぼっこさせていたところ、ワイヤーネットの網目から脱走してしまいました。
目を離さないようにしていたため、事なきを得ましたが、「通り抜けないだろう」という隙間も案外通れてしまうんだと痛感した出来事です。


最近では、近所の桜が満開だったため一緒にお花見をしました。
温かい時期は、一緒に季節のお花を見に行く楽しみがあります。

フトアゴヒゲトカゲはまだまだ知名度の低い生き物なので、通行人の方々に「イグアナ?」「カメレオン?」などよくお声がけいただきます。
あまりにも大人しいため、「置き物?」ともよく言われます。

「あ!フトアゴヒゲトカゲだ!」と言われるくらい、知名度が上がれば良いなと密かに願っています。

飼育して良かったと思うこと

↑お迎え直後のころっけ。生後5~6ヵ月のヤングアダルトでした。

初めての爬虫類飼育だったため、お迎え当初はちゃんとお世話ができるのか不安でいっぱいでしたが、今では毎日笑顔と幸せを貰っています。
ころっけはすっかり家族の中心的な存在になっていて、毎日のように家族みんなでころっけの話をしています。

昼行性ゆえに生活リズムが家族と合うため、一緒に過ごす時間を長く取れる点もとても魅力的だと感じています。
また、夫と娘は動物アレルギーがあるのですが、爬虫類はその心配が少ないため、安心して飼育しやすい点も魅力だと思います。

まとめ

【Iさんのメッセージ】
爬虫類飼育は「温度管理が難しそう」「機材がたくさんあってよくわからない」など、敷居が高いイメージがありなかなか踏み込めない方もいると思います。私もそうでした。
私がころっけをお迎えして実感したことは、ネットの情報を鵜呑みにせずに信頼できるショップやブリーダーさんに、飼育環境の整え方や飼育方法を徹底的に相談に乗ってもらった方が良いということです。
爬虫類はまだまだ飼育情報が少ないため、お迎え後にもたくさん相談に乗ってもらえる方がいると安心です。
慣れるまでは不安だと思いますが、心配なことは相談しつつ日々お世話することで、不安よりも、一緒に暮らす楽しさや愛おしさの方が大きくなっていくと思います。
ちなみにエサ用の虫は、我が子のためなら「食材」に見えるようになってくる…かも?

また、飼育する前は「爬虫類は懐かない」といったイメージがありましたが、一緒に過ごしているうちに、家族にしか見せないような表情やしぐさがあることに気づきました。
来客の方に抱っこされたとき、少し困ったような顔で私のほうをじーっと見てくることがあり、「家族だと認識してくれているのかな!?」と、とても嬉しくなりました。
「爬虫類は懐かない、慣れるだけ」と言われていますが、ころっけなりに懐いてくれているのでは?と思っています。

余談ですが、あまりの可愛さに毎日「可愛い」を連呼しているため、「可愛い」と言うたびに100円貯金をしようかと思ったことがあります。
でも計算してみたら破産しそうだったので、すぐにやめました(笑)。
10円貯金なら、そこそこ貯まるのでは……と今も悩み中です。

以上、Iさんへのフトアゴヒゲトカゲ飼育に関するインタビューでした。

娘さんが動画サイトでフトアゴヒゲトカゲの魅力を知った、という始まりはとってもイマドキですね。しかしそこから入念に飼育に関する情報を調べる姿勢はとても真摯ですし、情操教育としての動物飼育という観点から見ても素晴らしいと思います。

飼育を始めてからも、その時々の様子や状況に合わせて、細やかな調整をしていらっしゃいます。こういった、どういうケースでどういった調整を行うのかという情報は、体験に基づく貴重な情報ではないでしょうか。

今後もこういったインタビュー記事を掲載していければと思っていますので、「面白かった!」という方はぜひSNS発信やブックマークなどをお願いします。

また、前回のインタビュー、Nさんに聞いたヒョウモントカゲモドキ飼育体験談も合わせてご覧ください。